税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2015年01月

最近、合弁契約に関するご相談を立て続けに頂きました。

あまり中国事業になじみの無い方は、「今更合弁なの?」という
印象を受けるかもしれません。

確かに合弁形態での中国事業は、昔は外資規制の絡みから
不可避でしたが、現在は規制緩和が進み、多くの業種において
日系単独での出資(いわゆる独資)での進出が一般的となりました。

しかし、最近再び合弁での中国事業を検討される先が増えてきて
いる、と感じています。

その要因は、やはり、中国市場を開拓するのには、中国パートナーの
協力が必要不可欠ということで、出資をしてもらい、当該事業の意欲を
強くもってもらう目的での合弁です。

あるいは、単独での出資をするほど投資はできない。でも、拠点は欲しいため
運営は中国パートナーの力を借りたい、という目的での合弁です。

すでに中国事業を経験されている企業であればともかく、今回の事業を
もって、中国事業を開始しようとする場合、合弁事業の留意点がわからない
場合がございます。

このような相談を受けた場合に最低限留意してください、とお伝えするのは
下記のような内容です。

1、出資の重さ
  時折、お金だけ出せばいい、と考えられているケースがございます。
 しかし、あくまでも出資をする以上、出資者として責任があり、法定代表者
 を日本サイドの人間が務めている場合には、合弁企業の運営に問題が
 あった場合、影響が出る可能性があります。
  必ず、本社からは、関連会社として必要な管理、牽制機能を設定いただく
 ようお願いしています。

2、パートナーと事業展開についてよく話し合い、できれば議事録を残す
   設立を検討している際には、とかく設立のことだけを考えがちです。しかし、
  最初によく話し合うことが必要です。上手くいっても、上手くいかなくても、
  トラブルになる可能性があります。その際に、事前に話し合っていなければ、
  双方の不信感をあおるだけとなり、まとまるものもまとまらなくなります。
   「きっとわかってくれてるだろう」と思いがちですが、相手は「そんなこと、言って
  なかったじゃないか?」と思っているケース、かなり多いです。

3、事業を止めるケースは特に念入りに検討する
   事業スタートのときに止めるケースを検討するのは中々難しいかもしれません。
  「失敗する、なんて思ってスタートしたら、そもそも上手くいく訳がない」と言われた
  こともあります。(苦笑) しかし、止めるときの意思疎通ほど、難しいものはありません。
  しかも、合弁会社は会社の重要な決定は董事会の全員一致決議が必要です。
  つまり、出資割合で多数を握っているから、といって、意思決定できる訳では
  ないのです。 そういった条件を踏まえ、どのような条件になったら、事業を止める
  のか、合意をとっておくことが必要です。

  ※現在、外国投資法の草案が発表され、上記の董事会の全員一致決議の取り扱いが
    変更されそうです。なお、この場合は、新規の場合のみならず、過去に合弁契約を
    締結している先もすべて影響が出ますので注意が必要です。

4、現物出資に注意
    中国パートナーが出資をする際に、どのような形で出資をするのかも留意が必要
   です。土地使用権、建物等を現物出資するケースも見受けられますが、難しいのは
   その評価です。妥当な評価はいくらなのか、という点は非常に難しい判断になります。
   さらに、現物出資の場合、合弁企業への名義変更が正しく行われているかも留意が
   必要です。名義変更の手数料を惜しんで適正な手続きを踏んでいないケースもあり
   えます。やはり一番望ましいのは現金出資となります。

5、リスクに対する意識を統一しておく
    2の事業展開についての検討にも影響してくるのですが、日本サイドと中国パートナー
  サイドで一番異なる可能性があるものの一つにリスクに対する考え方です。
    いわゆる違法行為に対して、故意あるいは知識のなさによる無意識、と両方の原因が
  あるものの、それを許容するのかしないのかについて、確認しておく必要があります。
    たとえば、税務の話では、購入の際に発票をもらうと高いからもらわずに、ニセモノの発票
  を取得する、もしくは売上の際に発票を発行しないことで売上除外をする等、よくある話です。
  知らない間にリスクを負うことのないよう、感覚をすり合わせておく必要があります。


書き出すとまだまだ足らない気がしますが、「最低限」ということで
上記とさせていただきます。(笑)


    
   

1月に入って、中国事業に従事する企業・個人にとって、非常に関心の高いネタとして、
表題の中国のビザに関する新規定「外国人が入境して短期業務任務を完成させる場合の
関連手続秩序(試行)」(人社部(2014)78号 がございます。各所で取り上げられており、
日本大使館からの注意喚起や弊社の個人ブログにも登場しています。


NAC名南 董事長 小島成樹のブログ
中国出張 一日でもZビザ必要に(1/2)
http://blog.livedoor.jp/kojimashigeki/archives/42080798.html
中国出張 一日でもZビザ必要に(2/2)
http://blog.livedoor.jp/kojimashigeki/archives/42298754.html

日本大使館 注意喚起
中国の入国査証(ビザ)に関する新規定について
http://www.cn.emb-japan.go.jp/consular_j/joho150113_j.htm
追加情報
http://www.cn.emb-japan.go.jp/consular_j/joho150401-2_j.htm

現時点では、細かな解釈が出ていないこともあり、区分しづらいのですが、
お客様から質問を受けることも多々あるため、その考え方を簡単にまとめておきます。

今回の新規定について、下記の事項がポイントになると考えます。
1、ビザの必要性
2、ビザの種類
3、滞在日数の影響
4、ビザ免除規定との兼ね合い

これをこの順番で見ていくこととします。

1、ビザの必要性

 従来から日本に対しては、「観光・商用・親族知人への訪問或いは通過」目的であり、
滞在期間が15日以内であれば、ビザ免除という規定があります。これは現在も有効です。

 「商用」の内容が気になるところですが、一般的には商用=商談という解釈になるかと
思います。したがって、それ以外の目的で入国する場合には、ZビザもしくはMビザが
必要になると思います。

2、ビザの種類


 次にビザの種類の判断ですが、こちらは、新規定にある「短期業務任務遂行」に該当する
かどうかとなります。つまり、該当すればZビザとなり、該当しなければMビザとなります。
区分の詳細については、今後の当局からの通知及び運用を待つ他ありませんが、新規定は
下記のように解釈可能です。


・中国国内の委託工場での管理・指導
 ⇒ 「短期業務任務遂行」に該当し、Zビザ必要。
・販売した機械設備の据付・メンテナンス
 ⇒ 「短期業務任務遂行」に該当せず、Mビザ必要。
・子会社、代表処での業務
 ⇒ 「短期業務任務遂行」に該当せず、Mビザ必要。


3、滞在日数の影響

最後に滞在日数による違いですが、下記のとおりです。

・Zビザ必要なケースで、30日未満の場合
 ⇒ 勤務証明、短期就業許可
・Zビザ必要なケースで、30日~90日未満の場合
 ⇒ 勤務証明、短期就業許可、居留許可
・Zビザ必要なケースで、90日以上の場合
 ⇒ 就業許可、居留許可
・Mビザ必要なケースで90日未満の場合
 ⇒ MビザのみでOK
・Mビザ必要なケースで90日以上の場合
 ⇒ Mビザに換え、Zビザ、就業許可、居留許可


4、ビザ免除規定との兼ね合い

上記日本大使館HPの追加情報には下記の記載があります。

日本国民が一般旅券で中国に入国する場合、上記通知第2条(一)から
(四)で列挙されている状況で(滞在期間が)
15日を越えない場合は、査証免除となる。

現地法人での業務は、上記(三)に該当することから、15日未満の場合は、
Mビザ不要、ということとなります。

一方で、協力先での業務は上記(一)~(四)に含まれないことから、15日未満でも
Zビザが必要、という解釈となります。

上記が大枠の考え方となります。後は今後の運用を見ながら、さらに
業務の内容を判断しながら、どのようなビザを取得するのか検討していく
こととなります。


 

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