税理士法人名南経営 国際部ブログ

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2014年05月

先日、中国現地法人の現場調査を行い、そこで出てきた事項がいかにも中国的な事柄が多く、
ご紹介させていただきます。


・決裁ルールの未整備
 費用の決裁ルールが整備されておらず、どのような支出なのか見積もり等の検証材料もなく、
 妥当な支払いなのか判断できない。

 → 決裁者が流用しようとすれば、歯止めが利かない状況。そもそも中国においては、会社で
   必要なものは会社の経費という認識が強い。たとえば、家で仕事をすることもあるから、という
   理由でパソコンを購入し、家で利用する、としてしまう。


・バラバラな給与制度
 個々の採用の際に、都度特殊要因を設定している。
 (例:携帯費用の全額負担or一部負担、住居費用の一部負担、出張手当の支給 等)

 → 本来的な給与の格差が見えにくく、昇給・賞与決定時期等に留意する必要がでてくる。また、原則的
  には毎月決まって支給されるものは個人所得税の課税対象であるが、それも個別処理をすること
  によってもれやすくなる。


・固定資産の処理ルール
 計上に際しての目安となる金額はあるものの、それを超える資産も、費用処理されている事例多発。
 処分に関しても、董事会での決定等の根拠もなく進められている。

 → 費用にしてしまうことで、利益操作が可能となってしまう。さらに他の費用と紛れることで内容の把握が
   困難になる。
    処分については、廃棄として処理しながらも、実は勝手に売却し、その金額を個人が入手してしまう
   ことも懸念される。


・発票の取り扱い
 発票が回収できない先への支払いが生じた場合、個人使用も含めた発票を集めて処理を行う。

 → 他の発票にて流用することで、本来の支出項目がわからなくなる。さらに個人使用のもの、偽造発票が
  含まれていれば、そもそも損金処理ができなくなってしまう。


 上記は決して珍しい事例ではありません。本社の管理の目が届かない現地法人においては、特定の個人の
考え方で運営方法が決められてしまいます。

 また、コストの上昇、PM2.5等の環境不安というような理由から本社からの駐在員の数が減少しているのは
間違いありません。結果、今後は駐在員はゼロで現地ローカル社員だけで運営していく会社も増加することで
しょう。
 となると、駐在員がいる今はよくても、駐在員が帰任し目が届かなくなる将来においては、なお一層管理方法
を検討する必要があるでしょう。

このタイトルを見て、ピンと来る方は、上海通です。

 明日・明後日と上海にて、表題の会議が開催され、そのために、
中国及び関係各国の首脳が上海市に集まります。

 上海の日本領事館からも、下記案内等で「交通規制」
「パスポートの携行」等を促しています。
http://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/procedure/new140512-2-j.html

また、交通規制も、会場となる3拠点(陸家嘴、人民広場、世博中心)を中心に
実施されます。
http://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/procedure/new140516.html

実際に街の雰囲気としても、先週辺りから、かなり公安をみかけることが
増えていますし、実際に検問も多数行われています。

やはり注意すべきは、規制の影響によりスムーズな移動ができないことが
予想される点でしょう。いつも以上に、余裕のある行動予定が望ましいと思われます。

また、パスポートの携行にも注意が必要です。
出張者の方でパスポートを常時携行される方は少数派ですが、中国は常時携行が
求められており、検問時には必ずパスポートの提示を求められるので、このような
時期は常時携行がより望ましいでしょう。


5月に入ると、1月以降の中国現地法人の年度手続き(※)も佳境を迎えます。

※年度手続き
 ・年度監査
 ・12万元以上の所得がある個人の確定申告
 ・企業所得税の確定申告
 ・年度報告(従来までの合同年検に代わる手続き)

最近、寄せられる相談の中で配当に関するものが多いため、
今回は配当について取り上げてみたいと思います。

1、配当に関する制限

  累計未処分利益から過去の損失補填を行い、「準備基金」
 「企業発展基金」「従業員奨励福利基金」を積み立てた残額が
 配当可能利益となります。

 準備基金          → 利益の10%を出資金の50%に達するまで積立強制。
 企業発展基金       → 合弁企業は積立強制。独資企業は積立任意。
 従業員奨励福利基金   → 積立任意。
 
      
  上記、損失補填、及び3種類の積立金を控除した配当可能利益が
 表記されるのが、年度監査の貸借対照表の資本の部の未処分利益
 となります。現地法人でいくら配当できるのか確認したい場合は、
 まずはこちらをご確認ください。

  ただし、年度監査において、まれに強制されている準備基金を積立
 していない事例もあったので、その点については、要確認です。

2、配当に関する手続き

  董事会議事録もしくは株主会議事録において、配当を決議します。
  定款において、現地法人の最高意思決定機関が董事会もしくは 
  株主会かによって、決議議事録がどちらになるのか決まることに
  なります。

3、配当にかかる税金

  配当送金に当たっては、原則10%の源泉徴収が中国において
  発生します。
   ただし、07年以前までに留保された未処分利益については、
  免税扱いとなります。いつ獲得した利益なのかによって、課税の
  取り扱いが変わることとなります。

   一方、日本サイドにおいては、一定の要件を満たせば、外国
  子会社配当益金不算入制度を受けることができ、配当のうち、
  95%が益金不算入となります。

  結果、上記益金不算入が適用できる場合に、100の配当を決議したとすると、
  中国: 100×10% =10
  日本: 100×5%×36% =1.8  
  合計11.8が税コストとなります。

4、配当に関する送金

  送金手続きについては、5万米ドル以下であれば、金融機関での
  送金手続きのみで完了です。
  5万米ドル超であれば、税務局での届出が必要となります。
   しかしながら、いずれにしても上記10%源泉がかかることを考えれば、
  税務局で源泉納付かつ必要な場合は届出を行い、その後送金という
  流れが一番スムーズかと思います。


  
  

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